猶あらじ

書きたいことを書きたい時に

三番手の投手2

follow us in feedly
「試合に出れないのに何をやってるんだろう」
重松理は野球部の練習の帰り道にふと言葉を漏らした。

「理もそう思う。俺もレギュラー取れないまま野球人生が終わりそうだよ」
横にいた同学年の青山が堰を切ったように言い始めた。

「だいたい、外野の野手とキャッチボールするために野球している訳ではないっての」

青山はイニングごとに味方の野手が守備に着くたびにキャッチボール相手としてグランドに出る役割を担っていた。

「試合にも出れないし、野球辞めちゃおうかな」
青山はいつものようにネガティブな発言をしてくる。こんなことをいつも言っているけど、結局はやめない人間だと理は思っている。

正直言って試合に出れなければ面白くないのは当然だ。試合に出るために練習をしているのだが、結果が伴わないとモチベーションも徐々に低下してしまう。

青山とは練習後の帰り道に近所のコンビニやコロッケ屋などで腹を満たしながら、いつも愚痴を言い合っていた。

そんな愚痴を言っているベンチウォーマーの自分に、まさかあんなチャンスが回ってくるとは思わなかった。