猶あらじ

書きたいことを書きたい時に

三番手の投手

follow us in feedly
自分はそんなに強くもない公立高校の2番手投手だ。

すいません、嘘をつきました。正確に言うと、昨年の秋までは2番手投手だった。

今年に入り新入生の投手に抜かされ、3番手になり試合では起用されなくなった。

悔しい気持ちを抱きつつ、ベンチからの声出しを続けているうちに、いつも試合は終わる。ブルペンに入ることは、ほとんどない。

いつも声を出しながら心の中では「打たれて交代しねえかな」と黒い感情の言葉を吐いている。

周りの人たちからは「試合に出れないと意味無い」といわれるが、辞めてしまうと膨大な暇な時間を持て余してしまうため踏み切ることはできない。

高校に入学した当初はある程度は期待される投手だった。

自分のストレートには癖があるらしく、ナチュラルで変化することが注目された。

だから、入学当初の紅白戦、練習試合では短いイニングをよく起用されていた(公式戦の登板は無い)。

監督は試合で好投すると
「未来のエースはお前だ」
上機嫌で言っていたが、自分の球速が速くならなかったのと、同学年のライバル投手が成長したことによって、2年秋の新チーム発足時の背番号は10番で2番手投手だった。

秋の大会はライバル投手(相手はライバルとは思ってないかもしれない)が一人で投げ切り、地区予選を勝ち抜き県大会まで駒を進めた。

その後、県大会の初戦で強豪校とあたり、なす術もなくコールド負けを喫した。

そんな大差の負け試合でも登板の機会は無かった。

そして、春になり新入生が入ってきて3番手になってしまった。

このままでは、おそらく公式戦で登板することなく高校生活は終わってしまう。