猶あらじ

書きたいことを書きたい時に

三番手の投手4

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甲高いサイレンが鳴り、選手たちがホームベース上に集まり、球審からゲームセットが宣言された。

高校生活で初めての公式戦先発は試合開始から1時間半程度で終了した。

自分でも驚くほど調子が良く、6回までは好投し抑えていた。味方も6回裏に先取点を取り、「もしかしたら勝てるかも」と思った7回に相手打線につかまった。

今振り返ってみると、スタミナの限界だったのだろう。
明らかにコントロールを乱し、球に威力はなくなっていた。

7回表に大量失点し、8回に追加点を奪われてコールド負けで試合は終了した。

「これで本格的な野球をすることもないだろうな」と思うと理の目頭から、ほんの少しだけ涙か汗か分からないものが流れた。

3番手の投手として甘んじることなく、もっと練習をしていたら勝てたのかもしれない。

でも、練習できなかった自分も含めてここで負けるのが妥当だったのかもしれない。

生活から野球がなくなるなんて、いつ以来だろうか。
いつだったか思い出せないぐらい前のような気がする。

「せっかくの高校最後の夏休みだから海でも行くか」

明日以降の予定を決めるべく無理に明るく振る舞っている青山に話しかけに行った.