猶あらじ

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「イエスタデイをうたって」のススメ

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先日、「イエスタデイをうたって」の最終巻が発売された。

イエスタデイをうたって 11 (ヤングジャンプコミックス)


冬目景の作品は掲載ペースが遅く、不定期連載していることが多いため、この作品は完結までに18年かかっている。正直言って自分はこれが完結するとは思っていなかった。

この作品を知ったのは10年ぐらい前。たまたまブックオフで見つけて購入したのがきっかけだった。

冬目景の作品はモーニングに不定期連載されていた「黒鉄」を読んでいたので、その絵画のような独特の絵柄と他の作者とは一見違った世界観は前から気に入っていた。当時はファンに成り立てで「羊のうた」「ハツカネズミの時間」などの作品も買い始めていた頃だったと思う。

黒鉄(1) (講談社漫画文庫)


イエスタデイをうたって」の魅力は進捗しない三角関係だろう。
リクオ、ハル、榀子の3人が絶妙な距離感で進展することもなく、後退することもなく、ある意味草食的な展開で読者をモヤモヤさせながら進んでいく。最終巻の作者のインタビューに書いてあったが、エッチな展開は描かないようにしていたらしい。

進展しなさすぎて若干呆れてしまうところもあるけど、このモヤモヤ感に共感してしまった。「好きな人の側にいたいだけ」という単純な願いを叶えるのは、なかなか難しい。

また、「恋愛とはなんぞや」などの心に残るような独特なセリフ回しも魅力だと思う。


今回、最終巻が発売されたということもあって、始めから読み直してみた。
18年の年月が経っているにもかかわらず、一貫した世界観と丁寧な作りのストーリは、改めてすごいと感じた。

11巻で完結なので、時間の無い方々にもおすすめ。
最近の漫画は50巻以上続いたりして手を出しにくいので、これぐらいのボリュームが丁度いい。